もし、ルルーシュの母親「マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア」が
　最強だったら……

　人々を苦しめ死を与える魔王が、現れてから早百年余り。
　広大な大地には、魔王に仕える魔物が跋扈していた。
　魔王が出現した当初、人々は成す術もなく命を散らしていった。
　しかし、総ての人々がそう言う訳ではなく。
　襲い来る魔物達を倒し束の間の平和を取り戻した者達も居た。

　その者達は、その束の間の平和と言う短い時間の間に
　魔物達を迎え撃つ為の城を作った。
　魔物達を迎え撃つ為に人々を戦える様鍛えた。
　何時しか、魔物達を迎え撃つ為に作られた城は国の中心となり
　魔物達を迎え撃つ為に鍛えられた人々は騎士団となった。

　束の間の平和が終了の鐘を鳴らし、まだ魔物達が襲い来る。
　人々は戦った。
　束の間の平和であったとしても、平和な世界を手にいれる為に。
　その様は、まるで終わる事の無い階段。
　魔王が現れてから早百年余り……
　人々は疲れていた。

　一つの国の王が、一つの決断をした。
　総ての元凶である、魔王を討つ者を派遣すると……
　それは、酷く惨い決断。
　居場所の分からぬ魔王を討つ為に旅をしろと……
　尚且つ、魔王を見つけ討てと……

　王は悩んだ。
　こんな無謀きわまり無い任務を受諾する者が居るのか？　と……
　国一番の騎士を派遣するか？
　しかし、魔物達に襲われた時その騎士なしで国を護れるのだろうか？
　王は悩む。悩みに悩んだ。
　国とは言っても小さい国であるこの場所。

　大きな隣国みたいに、勇者の血筋と呼ばれる一族なんぞ存在しない。
　魔物達から身を護り、豊かではないが貧困していないのがこの国だった。
　王は悩んだ。
　何か良い手立ては無いのか？　と……
　王が悩んで既に太陽が七回昇り落ちた。二つ月が七回昇り落ちた。
　そんな王の下へ、一人の青年がやってきた。

　この国に暮す平凡な青年。
　青年は、シャベルを片手に悩む王に極めて気軽な口調で挨拶した。
　この様な事は珍しくない。
　国に暮す老人が来ては、気軽に王に挨拶し
　国に暮す主婦が来ては、気軽に王に挨拶し
　国に暮す子どもが来ては、気軽に王に挨拶した。

　それが、この国では当たり前だった。
　いつもなら、その気軽な挨拶に対し王は満面の笑みを浮かべて挨拶するのだが……
　王は、悩み続けていた為か渋い表情を浮かべての挨拶となる。
　そんな王の様子を青年は怪訝に思い、王に尋ねた。
　どうして、そんなに渋い表情をしているんですか？　と、